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チェリーという場所


 何度か移転計画もありながら、そうして、私も実は、違う場所に早々に引っ越そうと思っていた教室。

さて、もう引っ越すよ!とレイアウトまで考えて、床は何色がいい?と訊いたりしていたら、フローリングがいい・・・、とか言い出して、全館フローリングにすることなんてできないわよ!と言っていたら、生徒は、足で教室の床をすりすりしだして、ここがいい・・・、と言い出す、というような過程を何度踏んできたことだろうか。

 民家で、決して動線も楽ではない、古いこの教室。主婦目線で言うと、こんな掃除しにくい、収納もしにくいところもないのだけれど、それでも私が移転しようとすると絶対反対される。最初は、櫻井先生が行くところならどこへでも着いていきます、とか言ってるくせに、いつも、いつの間にか消える話。

 よほどこの場所がいいんだろう・・・。

 ならば、私は、ここを少しでも居心地よくなるように考えよう・・・、とあれこれしている。限界はあるものの。でも、生徒たちは、今のこの場所が居心地がいいらしく・・・。ときに、先生、○○しておかなくちゃいけませんよ、などとこわくさいことを言いながら。よく言われる。寮に入って、夏期講習だけ来るような生徒は、「第二の実家」、卒業した女子生徒は、「ゴッド・マザー」などなど。結構大学には送り込んでいるのだけれど、予備校講師である反面、彼らは私の中に母親を見ている。人生の先輩を見ているらしい。私の中でも、ようやく自分の立ち位置がわかってきたような・・・。

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