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『源氏物語』ではなく、西鶴


私の専門(そんなもんあるんかいな?)は、一応、近世日本文学ということになりますが(卒論から言うと。)、私が、生徒さんに『源氏』を語るのをお聞きになって、『源氏』が得意、と思ってくださった方がいらして、それは、まあ、本当に光栄なことだったわけですが、たしかに嫌いではありません。この、何ともはっきりしない表現には、かなり複雑な事情が含まれています。

私が、近世に走ったのは、何を隠そう、今は、あの世にいる、大阪のおばあちゃんのせいです。卒論こそは、上田秋成で、別に、もぞもぞ言う必要はないのですが・・・。私が、何を専門にしようかなあ・・・、と考えていたとき(そもそも、外国文学の方が好きだったけど、国語の方が、英語よりできたし、こんなんで、外国文学を学べるかと、当時は結構謙虚に考えていました。)、おばあちゃんが、「最近なんやら、「西鶴」が人気らしいで。本の名前聞いたらなあ、そら、あんた、なんやと思うかもしれんけど、女子大生に、人気らしいで。面白いねんてえ。」とそそのかされ、その年の購読で、『仮名草子』と『好色五人女』を学ぶことになりました。母は、堅物で、そんな本の名前、口にするだけでも・・・、と恥ずかしがっていましたが、私は、この、真面目な母ではなく、ちょっとお茶目で、悪いこともできるおばあちゃんの血を引いていると思うと、ホッとするところがあります。おばあちゃんは、結構不良だったそうで、女学校時代、心ブラ(心斎橋をぶらぶら歩く。まさか、授業はサボっていないと思いますが・・・。)もしたそうで、真面目路線を走りそうになると、まあまあ、と、人間らしさを教えてくれるのでした。

教員になってみて、その選択は、よかったなあと思いました。『源氏』は、必ず、どこかで勉強するのですが、近世をやっていると、文学史が見えてきて、助かったなあ、と思います。なんか、話が全然ずれてしまいました。

『源氏』に登場する、女性の中で、誰が一番好きか?というお決まりのお話をしようと思っていたのですが、おばあちゃんの話になってしまいました。あの世でにんまりしているのが、見えるようです。

やはり、話はずれて、西鶴を、大阪人として、誇りに思えるのか、そうでないのかは別にして・・・。西鶴は、とんでもない天才だと思います。なんやらわけのわからんことを書いていらっしゃる面があっても、ストーリー面で、矛盾をたくさん抱えはしていても、やはり天才!

季節を、その季節に登場する風物詩をポンポンを並べることで、うまく表したり(さだまさしさんも、こういう表現上手ですよね?)、一つのお話の最後に、今までの視点とは違う視点をサラッと入れて、あまり熱くなったり、深刻になりすぎないようにしたり、センター試験の過去問を読んでいるときでも、指導しながら、「やっぱり、この人、天才やわ!」と感嘆してしまいます。

でも、大阪の名誉なのか、不名誉なのか?私は、今、富山にいますから、関係ありませんけど。国司として高岡にいらっしゃった、それはおモテになったという、大伴家持先生の評価だけを気にしていればいいと思って、逃げましょう!家持くん、可愛いですものね!

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