無償の愛
相手に何も期待しない。そうして、でも愛して、一生懸命になる。
結果がどうの、ということで、その子の価値なんて変わらない。
ただただ親子になったから、教師と生徒の関係になったから、何があっても、愛すると決意する。
最近読んだ心理学の本の中では、パートナーとの愛もそうなのらしいが、やはり、愛には決意がいると思う。
自分のお腹から生まれて、初めて対面した時から、「頑張ったね。仲良くしようね。」と声を掛けてから、どんなにきついことを言われても、ひどいことをされても、結局最終的に親は子どもを愛する。教師の場合は、もっと広がって、担当した生徒さんにも、無償の愛を注ぐことを決意する。
ただし、もちろん、人ひとりの力ではどうすることもできないこともあって、誰かの力を借りなければ、指導を続行することが難しい場合もあるにはあるだろう。
そういうとき、自分ではない誰かのお力を借りることになるだろう。
ものすごくつらい決意であっても。
自分は自分であって、でも、自分だけのものではないと、教師という仕事をしていると実感する。
たった一人のために潰れるわけにはいかない仕事。
新卒で勤めた学校は、中高一貫校で、しかも全寮制。一人の生徒にかかりっきりになることを、よく戒められたものだった。
いつも広い視野に立っているか、全体の中の一つの事象としてみることができているか、自分にときどき問い直し、主観ばかりでなく客観的に判断できているか、自分自身をチェックするようにはしている。