研究書

進学先が決まって。Mちゃんが、すぐにご挨拶に来てくれた。なんだか素敵な贈り物を添えて。
お母さまのご実家のある地方の珍しいタルト、Mちゃんが結んでくれた水引(私が触って形がちょっと崩れている。)が結んである桜の柄のタオル、そしてお父様の研究されている論文をまとめられた研究書。
どれもこれも嬉しい贈り物だった。最後に、お父様が、研究書をくださったとき、私は飛び上がらんばかりに喜んでしまった。
文学部出身の私にとって、文学部の専門教養としてかつて勉強した分野と重なる分野の研究書をいただいたことが、本当に嬉しかった。思わず抱きしめてしまった。
この分野の研究書は、大学を卒業してから、自分で手に入れるだけの、または読むだけの余裕がなかった。
パラパラめくってみただけでも、評論の時間に解説した、文章の中に登場した研究者たちの名があちこちにある。
思わず、大学時代の、文学研究からの、さわやかな風か吹いてきたような気分になった。
序文を読んだだけで、先生の学術的研究と、人間救済への想いの融合が感じられ、読み進めるうちに、心がスーッとほぐれ、まるで固くなった心が溶け出していくような感じになる。先生の、学術と人間性のバランスを取られたお人柄まで感じられるようである。
学問はこうでなくちゃ!と納得である。
大学時代、耳にタコができるほど聞かされた、『学問が、机上の学問であってはならない!』という言葉がよみがえる。
久しぶりに、自分の分野を思い出してもいいんだ!と教えられた気分になった。
ありがたい出来事だったなあ。