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愛する男性ー白楽天


愛する、なんて言っても、文学上の話ですからね!

私は、白楽天が大好きです。

と言っても、白氏文集を読破したとか、そういうレベルではなくて、聞きかじった(読みかじった?)レベルでの、彼の人柄が好きなのです。というか、憧れています。

もう十年も前に、大学受験指導に自分の仕事が向かっていた頃、高校生の頃、白楽天作、として読んだ作品に、白居易作として、再会しました。イメージの問題ですが、やはり、玄宗皇帝と楊貴妃の愛を描いた『長恨歌』の作者、というと、やはり、白居易より、白楽天の方がイメージしやすい感じがします。

この、一見ロマンチストの白楽天ですが、とんでもない人で、友人思いは、まあ、中国男性に多い話ですが、正義感が強いから、内部告発は当たり前左遷されるは家族のために後悔するは、もう大変。挙げ句の果てにお母さんは投身自殺。通り名(字ー成人したときに付けられる白楽天の場合、楽天)の通り(笑)?、私は楽天家なのではないかと考えだしたり・・・。つまりは、苦難が多いのに、よく生きてるわ!と自分でも思い出したようです。

一般に中国では、かつて、詩人としての名声と官僚としての出世は、一緒にはならなかったようですが(科挙の試験で、詩作が課されるにも関わらず?)、彼は、日本人にとってはもっともなじみやすく、清少納言や紫式部にまで、たびたび引用されるような詩人でもありますが、最終的には大臣クラスまで出世します。共に科挙(中国の官吏登用試験。日本では、かつての旧司法試験くらいしか、相当しないと言われた試験。)に合格したー登第した、元愼(実は感じが違います)はもっと出世するのですが、周りには、「元軽白俗」(つまりは、元愼は軽く、白楽天は俗っぽい)なんて非難されてもどこ吹く風。この二人の友情は、なんだか女性の私からは、羨ましくなるような感じがします。

白楽天は、楊家(楊貴妃の一族)の女性を妻に迎えますが、そのプロポーズが素敵です。「ねえ、おまえ、詩人の○○の奥さんも、貧乏に耐えていたじゃないか。だから、詩人の妻で、貧乏だからと嘆かないでおくれ。」と、何人もの詩人の名前を挙げて、お願いするのです。でも、この二人の仲は、バッチリだったようで、晩年、白楽天は、いろいろあったけど、今は子供や孫に囲まれて、こうして温かい綿入れの着物を着ているなどと、素敵な詩を作ったりしています。

実は、予備校勤務の折、なぜか物理の先輩の先生で、「櫻井先生が、憶良と白楽天が好きな理由は・・・。」と言い当てられた方がいらっしゃって、私は、ちょっと見抜かれた感があったのですが、山上憶良と白楽天が好きな理由は、出自はあまり良くないのに、自分の力で勉強して、いわゆるエリートになっておきながら、いつまでも貧しい民衆のことを忘れず、いつも胸を痛め、少しでも役立とうとするそんな温かさを感じるからです。

授業中、よく、現実の世界にもいればいいのにね、とため息をつきますが、いえいえ、ちゃあんといますよ。素敵な男性!

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