激動の1か月
西宮に住んでいる実家の母が、大動脈解離で緊急入院した。
妹から知らせを受け、Wikipediaで、病気について調べてみて、ああ、もうこれはもう会えないかもしれないな、と思った。
父の時は、私の、結構大きなことをしでかした日に、がんの末期であることを知り、遠方に住んでいる娘としては、それなりに父のために動いたつもりではあったけれど、今回、母にもしものことがあったら、かなり後悔があるだろうことは容易に想像がついた。
そもそも、秋に温泉に母娘旅をしてから、それも、私がしいたけ占いのしいたけさんが、水に流すことの効用を説いておられたので、適当に、親孝行も兼ねて、母の住んでいる場所の近くの温泉に行けばちょうどいい、と思い、適当に決めた宿があまりにも母の気に入って、六甲から見える1000万ドルの夜景に感動し、朝も早くから起きて朝焼けを堪能し、一日に何度も温泉に使ったら、調子の悪かった足腰の調子が良くなり、味を占めたらしい・・・。
温泉、温泉、温泉・・・。私には温泉があれば、元気になれる・・・、と希望を持ったらしい。
ついでに富山県には温泉、というのはわかっていて、それも当てにし出した。
そんな矢先、いきなり大動脈解離などと言う大病を患い、でも、結構あっさり退院してきた。
なんでも、本人には病名も、状況も知らされてはいなかったらしい。
ICUに入れられても、そうそう大したことだとも思っていなかったらしく、積極的にリハビリをしていたとかで、褒められたとか言っている。
開校して、初めて、ゴールデンウィークらしい過ごし方となった。
が、開校した今日、開校した途端に自習室に生徒が来てくれるあたり、やはり開校していること自体は良いことのようである。
先日から西宮で数日過ごし、母をまたまた六甲の温泉に連れて行ってきた。
そうして、京都に一泊し、昨日父のために永平寺に行ってきた。
法要のために、若い雲水さんたちが、あれこれ足の悪い母のためにとてもよくしてくださった。
その間にいろいろお話をお聴きすることができ、禅宗、特に曹洞宗に関心のある私は、いろいろと勉強になった。
永平寺は新婚の頃、夫の会社の小さな旅行に連れていかれたときに行って以来だった。
イメージが、全く違った。
目的が違ったからかもしれない。
とにかく、父を永平寺に納骨する、というのが私の最大使命だった。
母が存命中に、なんとか父を永平寺に、そして、できることなら、母も一緒に入れて上げられたらいいし、北陸在住の私が、二人のために祈りに行くのは筋だな・・・、と思っていた。
越前そばを味わい、帰りには胡麻豆腐や羽二重餅をお土産に買ってきた。
大人には胡麻豆腐、生徒さんには羽二重餅。
自分にはドレッシング用のごま油。
私は調味料が好きである。
それから、国文学をやっている身として当然なのかもしれないけれど、お坊様のお経を聞いていることがとても心地よかった。
座禅に行きたいし、写経もしてみたい。
般若心境も唱えたい。
ときに日常生活を忘れ、心のどこかに中心となるものを思い出すために、お寺参りは素敵なことのように思う。
走り続けることもいいことではあるけれど、ときに神様や仏様に触れるために出掛けることは良いことだと、つくづく思った。
先日から思い浮かぶのは、二人のお父さんの笑顔である。
どちらも笑っている。
二人とも6月に他界した。
実家の父がお戒名をいただいた日が、こちらのお義父さんの命日である。
これで良かったんだよね・・・、と訊いている自分がいる。
それにしても、今日はぐっする眠ることにしよう。
お夕飯の準備もしてきたし、指導も早めに終わる日なので、ゴールデンウィーク最後の今日はゆっくりと過ごすことにしよう。
心配から始まったけれど、いったい何人の人と出会い、話して、ご協力をいただいたかしれない。
自分でも自分の思いきりの良さに驚くことがあるけれど、数年に一回やってくる、その思いきりの良さを発揮したゴールデンウィークであったと思う。
今回も学んだことがある。
直感が頼りではあるけれど、ひとたび決意したことは、本当にウソみたいにスムーズに進むし、周りの人が助けてくれる。
この日程で、この進み方はありえなかった。
自分一人の考えではこんな風にはならなかっただろうと思う。
周りのアドバイスは、結構素直に聞いたし、周りも、無理かとも思われる提案をしてくれて、それをまた、さっさとしてくださった。私一人の力ではとてもできなかった。何か目に見えぬものに背中を押されているのを感じていた。
そして、もっと驚いているのは、とんでもない動きなのに、その状況が、とても自然であることである。
誰も違和感なく、そこにいる。
もう少し新鮮さもありそうなものなのに、何にもおかしくもなく、今までもそうだったかのように毎日が、時が進んでいる。
こういうことってあるんだなあ・・・。
人生何度目かの必然性めいたことだった。
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