ああ、金閣寺!
実は、初デートは金閣寺だった。
これは有名な話である。
大学に入って、あっさり高校時代の彼を振った!と、阪急電車で先輩に出会う度にからかわれた。(笑)
よく考えてみれば、ひどい先輩である。
人の古傷を・・・。
人と別れるというのはエネルギーがいるし、お別れを言い出す方だって、結構辛いものだ・・・。
という話を予備校生にしたら、祝賀会の日、1人残って相談に来た男子生徒がいた。
その男子生徒は、実は思い出のある生徒だった。
その前年の5月。
息子がピアノの発表会に出るのに、服を考えていたのだけれど、大きなショッピングセンターで、白いTシャツに黒白ギンガムチェックのシャツを重ね着したのにパンツを、3,000円で調達して、それらしく見せて出演させたのであるが、夏休み明け、それと同じいでたちを彼がしていて、思わず、
あ、それ、ウチの息子のピアノの発表会の・・・!
と言ってしまった。
という彼に、ちょっとばかり恋の相談を受けたのである。
振るほうが辛いか、振られる方が辛いか、という話を確か古文の時間に恋の話をしていて、話したのを思い出してくれていたのだった。
何年も生きていると、それなりにいろいろあるけども・・・。(笑)
金閣寺、というと、先日も笑い話をしていた。
大阪のおじいちゃん、おばあちゃんのお家に行くことになり、こちらのおじいちゃんにお小遣いをもらった息子。
そのお小遣いを、USJではほとんど使わず、次の日パパに電話して、ゲームを買っていいか、交渉していて、何をしているのかわからないアホな母に、おばあちゃんが、
あの子、パパに交渉してるねんやんか。
と面白そうに見ていた。
なにせ6人いる孫のうちの黒一点の男の孫。
きっと、母には珍しかったのだろう。
なかなか会えないこともあったのだろうし。
彼がゲームのために置いておいたお金を遣いたくなったのが、金閣寺でのことだった。
USJではそれほど楽しそうでもなかった子どもたちは、京都に連れて行くと目がランラン。
金閣寺ではパシャパシャカメラマンをしている。
(いや、私には銀閣の方が、味わいあっていいと思うんだけど、と銀閣寺ではゆっくりしていたが・・・。)
よほど金閣寺が気に入ったのだろう。
小さな売店で、見つけた金閣寺の置物が(ちなみに1,000円とは思えない美しさであった。)、それはそれは彼の心をときめかしたらしい。
葛藤する彼。
ゲームVS金閣寺、という面白い対決が彼の心の中で、始まっていたらしい。
そこにおばあちゃんが、
おばあちゃん、買うてあげよ。
と大阪弁で、助け舟を出して、一件落着だった。
この、老成した趣味。
もうちょっと若い葛藤してくれればいいのに、こいつはもう・・・。
などなどと金閣寺には思い出がある。
銀閣寺では、娘の着ていた服と共に、その、落ち着いた雰囲気が思い出に残っている。
おばあちゃんは、銀閣寺では孫娘とお土産屋さんであれこれ選んでくれていた。
今でも、金閣寺を見ると、あの場面を思い出すし、銀閣寺のあのゆったりした雰囲気を思い出す。
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